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リスティング広告でのA/Bテストのステップ|基本的なステップと成功させるポイント
リスティング広告を運用していると、期待どおりの成果が得られない場合もあります。効果的な対策が立てられず、なかなか改善しないこともあるでしょう。そうしたケースで役立つのがA/Bテストです。
この手法では、複数の広告パターンを実際に試し、データに基づいてより効果の高い広告を選別できます。この記事では、リスティング広告でA/Bテストを活用するメリットや実施のステップ、注意点、さらに導入事例をご紹介します。

目次
A/Bテストとは?リスティング広告での意義
A/Bテストとは、広告の効果を測定するために2種類以上の広告バリエーションを用意し、どちらがより成果を上げるかを比較する手法です。
リスティング広告では、クリック率やコンバージョン率などの数値をもとにパフォーマンスを把握し、より集客につながる広告を選択できます。

このように、同じ商品やサービスについて異なる広告文を用意し、どちらがより反応を得られるかをテストします。キーワードや広告文、ランディングページの内容など細かく検証することで、広告を最適化し成果アップにつなげることが目的です。
リスティング広告でA/Bテストを使うメリット
A/Bテストは、リスティング広告運用に多くのメリットをもたらします。おもに次の4つのポイントがあります。
少ない工数で実施できる
A/Bテストでは複数の広告パターンを同時に比較できるため、個別にテストを行なう手間がかかりません。
一度に実施することで全体のテスト期間が短くて済むため、データの収集や施策の実施など、次のステップにスピード感を持って移行することが可能です。広告改善サイクルの工程や時間を減らし、より効率的な運用ができます。
低コストで改善できる
A/Bテストは、少ない予算で複数の広告パターンを試せるコストパフォーマンスの高さが魅力です。小規模なテストでデータの違いを確認できるため、コストを抑えながら改善対応ができ、無駄な広告費の削減にもつながります。
失敗の原因を特定しやすい
広告の成果が出ないときは、どの要素が影響を与えているのかを明確にしなければなりません。
A/Bテストでは、まず「広告文が悪いのか?」「ランディングページが原因か?」といった仮説を立てます。そのうえで、一部分のみを変えた2パターンの広告を検証するため、どの要素が成果に影響を与えたかを容易に分析することが可能です。
また、複数の広告パターンを比較し、データ収集を重ねることで具体的な改善点が見えてくるため、繰り返しテストを実施することで、広告の精度向上につながります。
正確な比較・分析が行なえる
曜日や時間帯、シーズンなどが異なる環境下で、異なる広告バージョンをテストした場合、外部要因の影響を排除できない可能性があります。
A/Bテストでは、分析したい部分以外は同じ条件下で広告を比較するため、信頼性の高いデータを得られるのがメリットです。確かなデータに基づいて適切な意思決定ができるようになり、次回の広告戦略の精度を向上させられます。
A/Bテストの実施やリスティング広告の運用はプロにお任せ!
このように、A/Bテストには複数のメリットがありますが、自社で正確なA/Bテストをやろうとすると、ツールの設計など、専門知識を要することがほとんどです。
そのようなときは、信頼できる代理店に依頼することで、安心・スピーディーにA/Bテストを任せることができます。
A/Bテストを含めた広告運用はNTTデータグループ会社のNTTデータ・ウィズにお任せください。
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A/Bテストのデメリット
一方で、A/Bテストにもデメリットがいくつかあります。まず、信頼できる結果を得るためには、十分なサンプル数が必要です。少ないデータでは結果に偏りが生じる可能性があるためです。
また、A/Bテストでの広告パターン比較は、必ずしも大きな差が出るわけではありません。この場合は、パターンを変えたり別の要素を見直したりして、新たにテストする必要があります。
さらに、複数パターンの広告を発信することによる予算の分散もデメリットの一つです。リスティング広告では、ユーザーが広告をクリックするごとに費用が発生し、予算に達すると配信が停止する仕組みです。
A/Bテストの実施期間は予算の分散により、広告の露出が減少する可能性があるため、短期的には成果が下がることを考慮して計画を考えなくてはなりません。
リスティング広告ではどのようなときにA/Bテストを行なうか
リスティング広告においてA/Bテストを実施するタイミングは、おもに2つです。
- 既存広告のコンバージョン率アップ
- 広告の変更内容の適正確認
A/Bテストは、インプレッション数やクリック率をアップさせ、最終的にコンバージョン率を向上させたいときに効果的です。複数の広告パターンをテストし、よりユーザーの興味を引く広告を見つけられます。
また、広告文やコピー、ターゲット、キーワード、ランディングページ、入札に関する設定などの変更にあたり、変更内容を決める際もA/Bテストが効果的です。効率良く改善策を導き出すことができるでしょう。
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A/Bテストのおもな種類と使い分け
A/Bテストにはいくつかの種類があり、リスティング広告で使用するのはおもに逐次テストと並行テストです。目的やテスト対象によって適切な手法を選ぶことが大切です。
逐次テスト
逐次テストは、一度に1つの広告パターンをテストし、その結果をもとに次のテストを行なう方法です。簡単に実施でき、過去のデータを反映させながら次のパターンを試したい場合に適しています。検証時期に左右されやすいのがデメリットです。
並行テスト
並行テストでは、複数の広告パターンを同時に運用して効果を比較します。複数の広告やランディングページについてどれが効果的か、随時比較したい場合に便利な方法です。同じ条件下で比較するため、逐次テストよりも信憑性が高いといえます。
同一URLテスト
同じURL内で複数の広告パターンを比較するのが、同一URLテストです。広告コピーやCTAボタンなど特定の要素を変更する場合に使用されます。
CTAボタンとは、Webサイトやアプリで設置される、「登録はこちら」などのユーザーの行動を促すボタンのことです。
同一URLテストではURLページが変わらないため、ソースコードを書き換えるなどの手間はかかりません。
リダイレクトテスト
リダイレクトテストでは、ユーザーを異なるURLに誘導して、ページ全体のパフォーマンスを比較します。デザインや構造が異なるランディングページの効果を測定したいときに活用できます。
複数ページテスト
複数ページテストでは、複数のページにまたがってA/Bテストを実施することで、ユーザーがたどる導線などを検証できます。異なるページでのデザイン変更や要素変更が、ユーザーの行動にどのように作用するかを比較します。
多変量テスト
多変量テストは、キャッチコピーや画像、CTAなど、同時に複数の要素を変更し、その影響を測定します。広告やページ全体の複合的な最適化を目指す場合に効果的です。
各要素がどのように作用するかを一度に把握できる方法ですが、難易度が比較的高いテストです。
リスティング広告でのA/Bテストで比較すると良い要素

A/Bテストでは、さまざまな要素を変更して、効果的な広告表現を見つけ出します。特にリスティング広告のA/Bテストでは、以下の要素がテストの対象になります。
タイトルやキャッチコピー
タイトルやキャッチコピーは、最初にユーザーの目を引き、クリックを促す重要な要素です。異なるタイトルやキャッチコピーをテストし、どのメッセージが最も効果的かを検証しましょう。訴求ポイントを複数考えてパターンを作成するのがポイントです。
パターン | キャッチコピー | 訴求ポイント |
A | 今なら50%オフ! | 価格の安さ |
B | 限定セール開催中! | 限定感、特別感 |
広告文
広告文も、ユーザーの関心を引き、クリックやコンバージョンにつなげる重要な要素です。タイトルやキャッチコピーと同じく、訴求ポイントを意識し、どの表現がより反応を得られるかを比較しましょう。
また、メリットや実績を伝えるのも効果的です。「10万人が利用!」や「満足度98%」などの数値を加えることで、信頼性を高め、より高いクリック率を狙えます。
リンク先のLP(ランディングページ)
どれほど魅力的な広告を提示しても、広告のリンク先のランディングページが読みにくかったり魅力的でなかったりすると、コンバージョンにつながりにくくなってしまいます。
ランディングページでは、ファーストビューの印象や、コンバージョンまでの導線のスムーズさを意識するとよいでしょう。また、先ほどまで見ていた広告とランディングページの内容に乖離がないことも重要です。
バナー
バナー広告のデザイン、色、画像、CTAの配置なども、クリック率を左右する重要な要素です。例えば、何色のボタンがクリックされやすいか、どのような写真を使えば効果的かなど、細かい部分までテストすることで、成果を最大化できます。
A/Bテストの進め方4STEP
A/Bテストを効果的に実施するためには、以下の4つのステップを押さえることが重要です。
目的の明確化
A/Bテストを行なう際は、まずクリック率向上やコンバージョン率改善など、具体的なゴールを設定しましょう。目的が曖昧だとテストの結果を正しく評価できず、最適な広告を選別しにくくなります。
複数の課題がある場合は、優先度の高いものから焦点を当てて実施するとよいでしょう。
これまでのデータに基づいた仮説立て
次に、過去のデータをもとに、どの要素が成果に影響を与えているのか仮説を立てます。仮説を立てずに闇雲に、または感覚でパターンを作成すると、比較材料に選んだ項目が見当違いだったということにもなりかねません。
クリック率や離脱率など、これまでの広告運用のなかで得た具体的な数値をもとにして、仮説を立てることが重要です。
A/Bテストの実施
立てた仮説に基づいて、比較する広告パターンを作成し、テストを実施します。期間が短いとサンプル数が集まらず有意差が出ない可能性があるため、十分なデータが得られるように期間を設定しましょう。
分析と改善策の実施
実施後はテスト結果を数値で比較し、どのパターンがより効果的だったかを特定します。分析結果を反映させて改善策を立案、実施しましょう。
一度のテストで得た改善策が、パフォーマンスを最大化させるわけではありません。分析結果を反映させながら繰り返しA/Bテストを実施することで、広告のパフォーマンスを最適化できます。
リスティング広告でA/Bテストを有効に進めるための6つのポイント
リスティング広告のA/Bテストで有効なデータを得るために、立案や作成にあたって注意すべきポイントは次の6つです。
すでに成果が出ているキャンペーンから実施する
A/Bテストは、すでに成果が出ているキャンペーンから実施するようにしましょう。すでにある程度の検索ボリュームがあるキャンペーンのほうがサンプル数を集めやすく、信頼性の高いテスト結果を得られやすくなるためです。
目的と仮説は具体性と根拠が不可欠
先述したとおり、A/Bテストは目的やゴールが曖昧だと効果的な結果を得にくくなります。目的は、クリック率の向上やコンバージョン率の改善など、具体的な数値を用いて考えることが重要です。
また、仮説を立てる際は、どこを変更すればユーザーの行動が変わるのか、どの部分がどのように変化するのか、実際のデータを活用して仮説を立てましょう。
ターゲットを明確にし、アクセス数など現状分析をしっかり実施したうえで数値的な根拠に基づいた仮説を立てれば、達成率など定量的に把握、評価できるようになります。
十分なサンプル数が確保できる期間を設ける
A/Bテストを行なう際に重要な課題の一つが、十分なサンプル数を確保することです。2~3日などテスト期間が短すぎると、サンプル数が足りず、統計的な信頼性に欠ける可能性があります。理想的なテスト期間は2週間から1ヵ月程度です。
同じ期間にテストをする
異なる期間でAパターンとBパターンをテストすると、データの信頼性が低くなります。季節や天候、さらには特定のイベントが広告のパフォーマンスに影響を与える可能性があるためです。
例えば、チョコレートの広告をバレンタインデー前とバレンタインデー後に実施した場合、バレンタインデー後のほうがパフォーマンスは下がると予想できます。
A/Bテストは実施期間に影響されやすいため、できるだけ同じ期間に行なうようにしましょう。
一度に1つの要素をテストする
A/Bテストでは、一度に1つの要素のみを変更し、比較することが重要です。例えば、広告のタイトルとCTAを同時に変えてしまうと、クリック率やコンバージョン率の変化がどちらの要素によるものか判断できません。
要素を1つに絞ることで、テスト結果の因果関係を明確にし、正確な改善策を導き出せます。複数の要素を検証したい場合は順番に1つずつテストを行ない、それぞれの影響を正しく分析しましょう。
繰り返しテストを行なう
A/Bテストは一度実施しただけで終わりではなく、継続的に繰り返すことが重要です。データを反映させながら検証を積み重ねていくことで広告の精度が上がります。
また、市場の動向やユーザーの行動は変化するため、短期間のテストや1回のみのテストでは精度が高いとはいえません。定期的にテストを行ない、データを分析しながら広告の内容を最適化することで、長期的に高いパフォーマンスを維持できます。
リスティング広告でA/Bテストを行なう際に気を付けること
リスティング広告でA/Bテストをスムーズに進めるためには、次の3つのポイントに気を付けましょう。
テスト中に条件を変えない
A/Bテストの実施中に条件を変更すると、結果の分析が複雑になり、どの要素がパフォーマンスに影響を与えたのか明確にできなくなります。
思ったような結果が出ず、条件を変更したい場合には、新しいテスト環境を別に用意して実施するか、テストが終了してから再度実施するようにしましょう。
A/Bテストで得た改善点が必ずしも成果をアップさせるとは限らない
A/Bテストを実施しても、必ずしも大きな差が出るわけではありません。また、A/Bテストで得られた改善策を実施しても、思うように成果に反映されない場合もあります。
そうした場合も、1つのデータを得ていることには変わりありません。データを踏まえて条件変更を重ねA/Bテストを行なう、または期間を延ばしてサンプル数を増やすなど、工夫が必要です。成果が出ていなくても、継続的に最適化を試みることが重要です。
テスト自体を目的にしない
A/Bテストの最終的な目的は、得られた結果を分析し、その結果に基づいて成果を上げることです。テストそのものに注力しすぎて、有意差が出るパターンに固執するのは避けましょう。
重要なのは、テストを通じて改善点を発見し、実際のパフォーマンス向上につなげることです。
リスティング広告でのA/Bテストの活用事例:不動産系クライアント様
ある不動産系のクライアント様では、成約率アップを目指しA/Bテストツール活用によるフォーム改善を実施しました。
まず、ヒートマップツール等で、ユーザーの離脱ポイントなど課題を明確にします。ヒートマップツールとは、Webサイト上のユーザーの行動を色分けして可視化するツールのことです。
続いて、あぶり出された課題を解決するため、LPO(ランディングページ最適化)ツールを使いA/Bテストを実施しました。その結果、フォームをたった1箇所変更しただけで、コンバージョン率を大幅に改善することに成功しました。
まとめ:A/Bテストを繰り返してリスティング広告の設定やLPを最適化
リスティング広告でのA/Bテストは、効果的な広告運用を実現するための重要な手法です。キャッチコピーや広告文など複数のパターンを試し、データに基づいて広告設定を最適化します。
信頼性の高いデータを得るには、サンプル数やテスト期間を十分に確保することが大切です。継続して繰り返しテストを実施することで、成果の向上が期待できるでしょう。
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