リスティング広告運用において、マッチタイプの選定は広告効果に大きな影響を与えます。

マッチタイプとは、登録したキーワードと検索語句の類似度に応じて、広告の表示範囲を決めるものです。以下の3つのマッチタイプが存在します。

• 完全一致
• フレーズ一致
• 部分一致（インテントマッチ）

本記事では、マッチタイプの種類と具体例、使い分け方、そして効果的に活用するためのポイントなどを解説します。

マッチタイプとは？定義とリスティング広告における意義

リスティング広告におけるマッチタイプとは、ユーザーが検索する語句と広告のキーワードがどれだけ一致するかの度合いを設定する仕組みです。

広告運用では、ユーザーの検索語句と設定したキーワードが一致するほど、広告がターゲットユーザーに届きやすくなります。

マッチタイプを使い分けることで、広告を広範囲に表示させるか、特定のターゲットに絞るかをある程度コントロールできます。この仕組みは、ターゲットユーザーに効果的にリーチし、広告のパフォーマンスを最適化するための重要な機能です。

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マッチタイプの種類と具体例

マッチタイプには、完全一致、フレーズ一致、部分一致（インテントマッチ）の3種類があり、次のような関係性にあります。

完全一致であれば、ターゲットユーザーがより絞り込まれます。反対に部分一致（インテントマッチ）の場合、ターゲットユーザーは広範囲になり、登録したキーワードとの関連性が薄くても表示されます。

完全一致

完全一致は、ユーザーの検索語句と設定したキーワードが完全に一致した場合に広告が表示されるマッチタイプです。3種類のなかで最も絞り込んだ設定であり、ターゲットとなるユーザーにのみ広告が表示されるため、非常に精度が高いのが特徴です。

例えば、「ダイエット　サプリメント」を完全一致で設定した場合、広告が表示される検索語句には次のようなものが挙げられます。

設定キーワード	広告が表示される検索語句例
ダイエット　サプリメント	ダイエット　サプリメント サプリメント　ダイエット だいえっと　サプリメント ダイエットのサプリメント

フレーズ一致

フレーズ一致は、指定したキーワードが含まれる検索語句に広告が表示されるマッチタイプです。完全一致よりも柔軟性がある一方で、部分一致よりはターゲットを絞り込めるのが利点です。

「ダイエット　サプリメント」をフレーズ一致で設定すると、広告が表示される検索語句には次のようなものが挙げられます。

設定キーワード	広告が表示される検索語句例
ダイエット　サプリメント	ダイエット　サプリメント おすすめ ダイエット　サプリメント 口コミ ダイエットのサプリメントを買いたい

部分一致（インテントマッチ）

部分一致（インテントマッチ）は、指定したキーワードと類似または関連性のある検索語句に広告が表示されるマッチタイプです。3タイプのなかで最も広範囲にリーチできるため、より多くのユーザーに広告が表示されます。

例えば、「ダイエット　サプリメント」を部分一致（インテントマッチ）で設定すると、ユーザーの検索語句に関連するワードにも広告が表示されます。

設定キーワード	広告が表示される検索語句例
ダイエット　サプリメント	痩せる　サプリメント ダイエット　効果的な方法 〇〇サプリ　効果

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豆知識：「絞り込み部分一致」

「絞り込み部分一致」は、部分一致の柔軟性を保ちながら、より関連性の高い検索ワードにアプローチできる設定でしたが、2021年7月に廃止され、フレーズ一致と統合されました。

表記ゆれや略語などについて

表記ゆれや略語、接続詞の有無など、同一内容と判断される検索ワードでも自動的に広告が表示されます。以下がその例です。

同一内容と判断されるパターン	例
表記ゆれ	いす、椅子、イス
略語	「スマートフォン」と「スマホ」
語順	「ダイエット　サプリ」と「サプリ　ダイエット」
接続詞の有無	「ダイエット　サプリ」と「ダイエットのサプリ」
類義語・言い換え	「パソコン」と「PC」 「スマートフォン」と「携帯電話」
同一の検索意図	「無料フォント」と「フリーフォント」

各マッチタイプの使用が適したシーン・使い分け

マッチタイプの使い分けは、商品やサービスへの興味関心度に基づくターゲット設定と、広告配信の目的がポイントです。

完全一致が適しているシーン

完全一致は、特定の商品やサービスに焦点を当てた広告配信に適しています。その商品やサービスに興味関心があるターゲットを明確に絞るため、広告費を最小限に抑えられます。

キーワードの検索ボリュームが多い場合には、完全一致を活用しターゲットを絞ることも可能です。

フレーズ一致が適しているシーン

フレーズ一致は、検索意図が明確な顧客にアプローチしたい場合に有効です。検索語句の一部として設定したキーワードが含まれていれば、広告が表示されるため、比較的幅広いユーザーにアプローチできます。

商品やサービスまで明確になっていなくても、ある程度限定されたユーザーにアプローチできるでしょう。

部分一致（インテントマッチ）が適しているシーン

部分一致は、新規顧客の開拓を目的とする場合に適しています。ターゲットを広範囲に設定し、関連性のあるさまざまな検索語句に広告を表示させられます。そのなかで興味を示すユーザーがいれば、コンバージョンにつながるでしょう。

部分一致は、成約に至るか不明なユーザーも含め広範囲に表示するため、予算に余裕があるときに適しているマッチタイプでもあります。また、より多くの潜在顧客にリーチし、ブランド認知度の向上を目的とする場合も有効です。

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マッチタイプの設定方法

続いて、マッチタイプの設定方法について確認しましょう。ここでは基本的なルールと、Google広告、Yahoo！広告での設定方法を解説します。

マッチタイプの記号について

マッチタイプの設定方法を解説する前に、押さえておきたい、Google広告でのマッチタイプの入力ルール（記号）を解説します。各マッチタイプを識別するために使われる記号です。

マッチタイプ	入力ルール	例
完全一致	[ ]（角かっこ）	[ダイエット　サプリメント]
フレーズ一致	“”（二重引用符）	“ダイエット　サプリメント”
部分一致（インテントマッチ）	なし	ダイエット　サプリメント

Google広告での設定

Google広告でのマッチタイプ設定では、まず管理画面にログインし、キーワードを追加したい広告グループを選択します。

続いて、「キーワード」セクション内の「検索キーワード」をクリックし、設定したいマッチタイプの記号を使用してキーワードを入力します。入力後、「保存」をクリックすると設定完了です。

Yahoo！広告での設定

Yahoo！広告でのマッチタイプ設定方法も、Google広告と似ています。

管理画面にログインし、キーワードを追加したい広告グループを選択したあと、「表示内容選択」内にある「キーワード」をクリックします。

次は、設定したいキーワードの入力と、マッチタイプの選択です。フレーズ一致や完全一致など、目的に応じたマッチタイプを選択し保存します。

マッチするキーワードが複数ある場合の優先度

広告にいくつかのキーワードやマッチタイプを設定すると、複数のキーワードがマッチする場合があります。マッチタイプの優先度について例を挙げて解説します。

優先順位1：検索ワードと完全一致キーワード

ユーザーが入力する検索語句が、設定した完全一致キーワードとまったく同じ場合、最も高い優先度で広告が表示されます。これにより、ターゲットに適した広告が最優先で表示され、無駄な広告表示を防止することが可能です。

例えば、検索語句「安い スニーカー」に対して、完全一致キーワード「安い スニーカー」が設定されていれば、優先的に表示されます。

優先順位2：スペル修正された検索ワードと同一の完全一致キーワード

ユーザーがスペルミスをして検索した場合、多くの広告サービスはそのミスを自動修正します。修正後の検索語句が完全一致キーワードと一致する場合、完全一致として扱われ、優先的に広告が表示されます。

例えば、「安い スニーカ」→「安い スニーカー」のようなスペルミスです。スペルを修正したうえで完全一致が適用されます。

優先順位3：検索ワードと同一のフレーズ一致キーワードまたは部分一致キーワード

検索語句と完全一致するキーワードがない場合、検索語句に近いフレーズ一致キーワード、または部分一致キーワードが優先されます。フレーズ一致は部分一致よりもターゲットが絞り込まれているため、基本的にはフレーズ一致のほうが優先されます。

例えば、フレーズ一致の「安い スニーカー おすすめ」が、部分一致の「スニーカー お得」よりも優先される仕組みです。

優先順位4：スペル修正された検索ワードと同一のフレーズ一致キーワードまたは部分一致キーワード

先述したとおり、ユーザーがスペルミスをした場合は自動修正されます。その語句がフレーズ一致キーワードまたは部分一致キーワードと一致すれば、これらが次に優先して表示されます。

優先順位5：関連性が高いキーワードと広告ランクの高いキーワード

完全一致、フレーズ一致、部分一致いずれのキーワードとも一致しない場合、検索語句との関連性が比較的高いキーワードと、広告ランクが高いものが優先されます。

優先度パターンの例外

特定の条件下では、必ずしも上記のとおりではありません。例えば、キャンペーンが予算によって制限されている場合や、広告表示につながらないキーワードである場合などです。

広告表示につながらない要因として、検索ボリュームが少ない、広告グループ内のすべてのクリエイティブが不承認、ターゲティングが適切でないなどが挙げられます。

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マッチタイプを有効活用するためのポイント

最後に、リスティング広告運用でマッチタイプを有効活用するためのポイントを、2つ紹介します。

除外キーワードを設定する

除外キーワードとは、広告が表示されないように指定する検索ワードです。除外キーワードの設定により、無駄なクリックを防ぎ、ターゲットユーザーにピンポイントで広告を配信できます。

除外キーワードは、表記ゆれなどの関連語句をカバーしないため、完全に除外するには、表記ゆれや類義語なども登録する必要があります。

優良キーワードを見つける

コンバージョンにつながりやすい優良キーワードを見つけることで、広告のパフォーマンス向上が狙えます。

フレーズ一致や部分一致などのマッチタイプを試すなかで、関連するキーワードを広く集めて分析したり、キーワードプランナーなどのツールを使ったりするのもおすすめです。

まとめ：マッチタイプの使い分けとキーワード設定がリスティング広告の効率性を左右する

マッチタイプの設定は、狙った範囲のターゲットに広告を効果的に表示させるために重要です。さまざまなマッチタイプを試して優良キーワードを見つけ、費用対効果を高めることがポイントです。

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