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ROASとは?広告効果を最大化する指標の基礎と活用法
「広告費をかけているが、効果が本当に出ているのかわからない」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。ROASという指標を活用すれば、広告の費用対効果を明確に把握でき、効率的な広告運用が可能になります。
この記事では、ROASの定義やメリット・デメリット、計算方法、類似指標との違いについて解説します。さらに、ROASを向上させるためのヒントについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次
ROASとは広告の費用対効果を測る指標
ROAS(Return On Advertising Spend)とは、投資した広告費に対して、どれだけの売上が広告経由で発生したかを数値化したものです。日本語では「ロアス」と読み、「広告の費用対効果」と訳されます。
ROASは、Web広告の効果測定において欠かせない重要な指標の一つです。近年では、オンライン広告の多様化にともない、さまざまな広告手法が活用されるようになっています。そのため、各広告手法の効果を正確に比較・評価したいという企業のニーズは高まっていきました。
ROASを活用すれば、異なる媒体の広告効果を数値化し、客観的に比較することが可能です。さらに、今後の施策について、どのような方向に舵を切ればよいかの意思決定もできます。
ROASの3つのメリット
ROASを活用するメリットは以下の3つです。
- 広告効果の比較がしやすい
- 迅速な意思決定が可能になる
- 予算管理を最適化できる
それぞれみていきましょう。
広告効果の比較がしやすい
ROASは、異なる広告媒体や施策間の効果を簡単に比較できるのが特徴です。例えば、SNS広告とWebメディア広告のROASを比較することで、どちらがより効果的かを数値で判断できます。
ROASの数値に基づき、より効果的な広告チャネルに予算を集中させれば、全体的な広告効率を向上させることが可能です。効果が上がっていない広告を取りやめれば、広告費の無駄遣いを防ぐことにもなり、効率的な広告運用につながります。
迅速な意思決定が可能になる
ROASは計算が簡単で、リアルタイムでの測定が可能な指標です。広告キャンペーンの効果を即座に評価できるため、必要に応じて迅速に施策を調整できます。
例えば、特定の広告がROAS目標を下回っている場合、すぐに予算を調整したり、クリエイティブを変更したりすることが可能です。
この迅速な対応力は、変化の激しいデジタル広告市場において大きな競争優位性をもたらします。特に、リアルタイムでの広告入札調整などに役立てることができるでしょう。
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予算管理を最適化できる
ROASは広告費用に対する直接的な売上の割合を示すため、予算管理がしやすくなるのもメリットです。
ROASの目標値を設定することで、広告予算の上限を決定したり、投資回収の見込みを立てたりすることが可能です。高いROASを維持できる広告がわかっていれば、効果的な予算配分ができ、収益の見込みを立てやすくなります。
ROASとROI・CPAの違い
ROASと似た指標に、ROI(Return On Investment)とCPA(Cost Per Acquisition)があります。いずれも広告効果を測る指標という点では共通していますが、それぞれ特徴やメリット・デメリット、適した活用シーンが異なるため、その違いを理解することが重要です。

ROIとの違い
ROASとROIはいずれも広告効果を測定する指標ですが、その焦点が異なります。ROASは広告費に対する売上の割合を示す「売上」目線の指標であるのに対し、ROIは投資に対する利益率を表す「利益」目線の指標です。
また、ROASが対象とするのは広告費に限定されますが、ROIはより広範な投資に適用されます。ROASは計算が簡単で広告効果の比較に適していますが、利益を考慮していないため、ビジネス全体を評価する際はROIと併用することが重要です。
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CPAとの違い
CPAも広告効果を測定する際に用いる指標の一つですが、ROASとは目的が異なります。ROASは「売上の最大化」を目的とし、広告がどれだけ収益を生み出しているかを示す指標です。広告による収益性を売上の観点から評価するため、ECサイトなどの直接的な売上が発生するビジネスに適しています。
一方、CPAは特定の成果(コンバージョン)を獲得するためのコストを測定する指標で、その目的は「コストの管理」です。会員登録や資料請求など、必ずしも即時の売上につながらない成果にも適用できるため、より幅広い状況で使用されます。
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ROASの計算方法と目安
ROASの計算式は以下のとおりです。
ROAS(%)=広告経由の売上÷広告費×100
例えば、広告費60万円で300万円の売上が出た場合、ROASは500%です。ROASの数値が100%を超えると、広告費以上の売上があったことを意味し、数値が高いほど広告効果が高いと判断できます。
ただし、ビジネスモデルや業界によって適切なROASは異なるため、ROASの目安を設定する際は、損益分岐点ROASを基準にすることが重要です。損益分岐点とは、事業における売上と費用が同額、つまり「利益がゼロ」の状態を指します。
損益分岐点ROASは、以下の計算式を用いて求めます。
損益分岐点ROAS(%)=顧客単価÷(顧客単価−原価)×100
例えば、顧客単価を1万円、原価を5,000円とした場合、損益分岐点ROASは200%です。つまり、ROASが200%を下回れば赤字となり、200%を上回れば利益が出始めるということになります。
したがって、常に損益分岐点ROASを上回るようにROASの目標値を設定することが、広告費の回収、利益の確保において重要です。
ROASの活用において注意すべきこと

ROASは広告効果を測定するうえで重要な指標ですが、活用において注意すべき点もあります。ここでは、ROASを効果的に活用するために、押さえておくべき重要ポイントを見ていきましょう。
ROAS単体で利益は判断できない
ROASは広告効果を測る重要な指標ですが、単体では企業の利益を正確に判断することはできません。ROASは売上と広告費用の比率を示すのみで、そのほかのコストを考慮していないからです。
つまり、高額な商品で高いROASを達成しても、原価や販管費(販売・管理業務で発生した経費)などのコストを踏まえると、実際の利益は低い可能性があります。
例えば、ROASが600%という高い数字でも、ROIが10%程度の商品では、実際の利益は広告費の60%にとどまります。そのため、ROASを評価する際は、ほかの指標・経費を含めた総合的な分析が必要です。
長期的な効果測定には向いていない
ROASは短期的な広告効果の測定には適していますが、長期的な指標とするには限界があります。ROASは即時的な売上のみを考慮し、顧客生涯価値(LTV)や将来の再購入を反映していないからです。
例えば、新規顧客獲得のための広告は、初回購入時のROASが低くても、その顧客が長期的に継続して購入すれば、LTVは高くなります。
したがって、長期的な効果を評価する際は、ROASだけでなく、顧客維持率やLTVなどの指標も併せて分析することが重要です。長期的な視点を持つことで、より戦略的な広告投資が可能になります。
間接的効果を測定できない
ROASは直接的な広告効果を測定する際には有効ですが、ブランド認知度の向上やユーザーエンゲージメントの増加などの、広告がもたらす間接的な効果をとらえることはできません。
例えば、ある広告キャンペーンを行なったことで、即時の売上には結びつかなくても、認知度の向上や顧客との信頼関係の構築につながっている可能性があります。
また、口コミやソーシャルメディアでの拡散といった広告の二次的な波及効果も、ROASでは測定できません。
これらの要素も含め、広告の総合的な効果を評価するには、ブランド認知度調査やサイト訪問数など、ほかの指標も組み合わせて多角的に分析することが必要となります。
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ROASを向上させる3つのポイント
ROASを向上させること、すなわち広告効果を最大化し、投資対効果を高めるためには、効果的な戦略が不可欠です。ここでは、ROASを改善するために押さえておくべき3つの重要なポイントについてご紹介します。
ターゲティング精度を高める
ROASを向上させる重要なポイントの一つが、ターゲティングの見直しです。適切なターゲット設定は、広告費用の効率的な使用と、コンバージョン率の向上につながります。
ターゲティング精度を高めるには、自社の顧客データを詳細に分析し、購買行動や興味関心などの傾向を把握することが重要です。これにより、特定のセグメント(共通の特徴で区分した集団)に絞った広告配信を行なうことが可能となり、潜在顧客へ効率的にリーチできます。
併せて、意図しない対象に広告が配信されないようにを設定すれば、広告費用の無駄を削減できます。また、A/Bテストを実施して、どのようなターゲティング設定が最も効果的かを継続的に検証し、最適化していくことも重要です。
クリエイティブを改善する
ユーザーの目に止まる魅力的な広告を作成することも、ROASを向上させる重要な施策の一つです。効果的なクリエイティブは、ユーザーの注目度やクリック率を高め、最終的に購買行動を促進します。
クリエイティブの改善には、まず明確な価値提案を打ち出すことが重要です。商品やサービスの独自性や利点を簡潔かつ魅力的に伝えることで、ユーザーの興味を引き出すことができます。
また、ターゲット層に合わせた適切な言葉遣いやビジュアルを選択することで、共感を得やすくなります。
アイキャッチ画像や動画などで、ユーザーの目を引く工夫も効果的です。加えて、明確なCTA(Call to Action)を設置することで、次のステップへの誘導を促進できます。
これらの要素をA/Bテストで継続的に評価し、クリエイティブの最適化を図っていくことが重要です。
顧客単価を上げる
顧客単価を上げることでROASを改善するというアプローチもあります。顧客単価が向上すれば、同じ広告費用でより高い売上を生み出せるため、ROASの直接的な改善につながります。
ただし、単純な値上げではなく、顧客にメリットのある施策を講じることが重要です。まずは商品やサービスの価値を高めたうえで、適切な価格設定を行ないましょう。
付加価値の高い商品を提供したり、サービスの質を向上させたりすることで、顧客の購買意欲を高めることができます。
例えば、クロスセルによる関連商品の提案や、アップセルで上位グレードへの誘導を行なう戦略が効果的です。また、商品のバンドル販売(複数商品のセット販売)や期間限定の特別オファーといった販売戦略を展開することも、顧客単価向上につながります。
まとめ:ROASを活用して広告効果を最大化しよう
ROASは広告効果を測定するのに効果的なツールであり、適切な目標設定と改善戦略を実践すれば、広告投資の効率を大幅に向上させることができます。ただし、ビジネス全体を評価する際は、ROASだけでなく、ROIやCPAなどほかの指標も組み合わせることが重要です。継続的な分析と改善を行ない、より効果的なマーケティング戦略の立案・構築につなげましょう。
デジタルマーケティングの効果を最大化するには、専門的な知識と経験が不可欠です。NTTデータ・ウィズのデジタルマーケティングサービスでは、ROASの最適化をはじめとする包括的なマーケティング戦略の立案と実行をサポートします。ぜひ活用をご検討ください。

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